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「そんなことないよ。行人、これなんてどう?」
「姉ちゃん…。それは…」
平気な様子で商品を探し、その中の1つを手に取って俺に見せた。
俺はその商品を見て冷や汗が出る。姉ちゃんが持っていたのは、下着なのかと思わせるほどのスケスケ下着…
「へへへ、行人が良いならお姉ちゃん頑張っちゃうよ!」
恥ずかしそうに話す姉ちゃん。
だが姉ちゃん、絶対それ着る気だろ!
「お客様。どんな下着をお探しですか?」
2人でそんなやり取りをしていると女性店員が話しかけてきた。
「はい、彼氏に~。『たまにはきわどい下着も履いたら?』と、言われたものですから…」
「俺は彼…ガフッ」
店員が尋ねてくると急に純情ぶりな口調に変わる姉ちゃん。
店員さんに弟だと説明しようとしたら姉ちゃんに肘鉄をくらわされた。
かなりキツいぜ姉ちゃん………
「そうですか…。なら、コレなんてどうですか?」
姉ちゃんと店員は下着をあれこれ吟味し始めた。
それも下着とは言い難い品物ばかり…
アナタそれ着るのですか?
「今のウチに……」
そぉっと姉ちゃんに気づかれないよう店の外に出る。
姉ちゃんと店員は気づくことなく下着を選んでいた。
「まったく…。あんな事されたら、たまったもんじゃないよ。」
店の近くの自販機の前でお金を入れ、缶のお茶を買う。
お茶は健康に良いんだぜ!
プルトップを開けグビッと飲んだところでため息を吐いた。
すると…
「止めてください!」
「いいじゃねぇか!付き合えよ!」
女の子の叫び声が耳に入った。
辺りを見回すと不良とおぼしき2人が女の子に迫っているのが見えた。女の子はヒドく嫌がっている様子。
「ほっとけないよな。」
お茶を飲み干し空いた缶をゴミ箱に入れ、女の子達の方へ歩きだした。
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