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「今日は、ぬいぐるみが欲しくて街に一軒しかない『Teddy Museum』ってお店に行く予定だったんですが…。」
大虎さんは残念そうに呟き、熊さんも大虎さんに気を遣う。
しかし、心配はいらない。
なぜなら――
「あ、それならあそこ。」
目的の店を指さす。
なんたってそのお店はさっき姉ちゃんと入ったランジェリーショップの隣だ。
「まぁ、そんなところに! ありがとうございます。」
「あっしからも礼を言います。さっ、お嬢参りましょうか。」
手を口に当て驚く大虎さん。
熊さんが大虎さんを先導するように先に行く。
「では、ごきげんよう。」
大虎さんは一礼すると熊さんと一緒に目的の店へ入って行った。
ふぅ~っと安堵の息をもらし、ふと隣のランジェリーショップを見ると姉ちゃんの姿が……姉ちゃん!?
「い~~く~~と~~!」
そこには怒りで髪の毛がうねうね動く蛇のように見え、ホントにメデューサに見える姉ちゃんがいた。
まずい、勝手に居なくなったのがバレた…
「何でございましょうか? お姉様…。」
メデューサの影にビビりながらも丁寧語で尋ねる。
冷や汗が止まりません。
これが俺が一番恐れているメデューサモード見たら動けなくなってしまう…
「な・ん・で!? 勝手に居なくなったのかな?」
「え~と、姉ちゃんにゆっくりと選んで欲しくって。」
お怒りの姉ちゃんに小学生レベルの言い訳しか出来なかった。
何か俺、楽しみにしてるように聞こえない?
「あらそうなの? 早く言ってよ!」
言い訳を聞いた途端に笑顔になる姉ちゃん。
お願いだから頬を染めるのは止めてくれ違うから違うから!
「ところで買えたの?」
「もちろん! なんなら、今見る?」
話題を変えようと姉ちゃんに話を振った。
すると姉ちゃんは購入したであろう袋を開けて見せようとする。
お願いだからここで見せないで下さい…
「慎んでお断りします! ねぇ、姉ちゃん? もう帰ろうよ…」
「そうね…、帰ろっか!?」
やんわりと断りをいれ、疲れたので帰るよう姉ちゃんに提案する
姉ちゃんも賛成し、姉ちゃんと一緒に帰路に着いた。
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