第3話 姉ちゃんとの新学期

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「おいっす! 元気だったか行人?」 掲示板のクラス表を見ていると、赤髪のツンツン頭のイケメンが軽々しく声をかけてきた。 「変態の国へ帰れ!」 「ヒドいよ~。俺と行人の仲じゃないか!」 冷たくあしらったにもかかわらず、半べそかきながらしがみ付いている変態は、岡田 裕。 顔はイケてるが、年がら年中女子を追いかけまわすエロの化身! 「ええい、触るな! 汚らわしい!」 抱きついている岡田を引き剥がす。 ちっ…ブレザーに涙が付いちまった 「グスン…」 「泣くな! 男だろ!」 引き剥がした岡田を見ると目から涙を溢しマジ泣きしていた。 仕方がないので、男らしいセリフで罵る。 「ア゛、ア゛ニ゛キ゛!」 「アニキ言うな!」 またしがみつく変態を引き剥がした。 今度は鼻水が付きそうじゃねぇか… 「まぁ、とりあえず教室に行こうではないか!」 泣き止んだ岡田は意気揚々と校舎へと歩く。 それを見て俺は岡田の後ろを歩き一緒に教室に向かった。 「2―Bの担任の村瀬だ。一年間よろしく!」 黒板の前に立ち挨拶する担任。 村瀬健一と黒板に書いた男は俺が一年生の頃、数学でお世話になった先生で今年から俺達の担任となる。 体育会系のイケメンだが… 「ちなみに龍ケ崎の姉を狙ってるから、よろしく義弟よ!」 俺にニカッとスマイルを見せた。 村瀬はウチの姉ちゃんを狙っている… しかし、まったく相手にされないけどな! 「村瀬のヤロウ! アネゴは渡さん!」 苦虫をかじるように言う変態。 岡田は何故か姉ちゃんのことをアネゴと呼ぶ。理由は姉ちゃんと岡田しか知らない。 何か、腹立つ… 「最初は自己紹介をしてもらうからな! 前に出て、名前とあとは適当に…」 村瀬は教壇に立ちながらこれからの事を説明する。 一通り説明した後、一番最初の子から自己紹介は進んでいった。
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