駆け出すサムライ魂

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突然、眼の前が真っ白になった。そして、少女みたような声がする。 「アナタはこれから旅に出るのです。然し、危険が伴う筈だからサッサと装備を堅めて逝けよコノヤロウ。」 急に物騒な事だ。コノヤロウと来たからにはお仕置きが必要である。この音質だとどうせ子供だろう。然し、不自然に逞しい。見ず知らずの相手に『コノヤロウ』を寄越す始末ではこの少女の将来が恐ろしい。 「コノヤロウってナンだよ!何様だよコイツ~」 コノヤロウを喰らわすくらいだからコイツで十分である。 「つーか、さっきからなにも無いんですけどー!真っ白ナンだけどー!これ動画の場合、可成楽出来んじゃねぇの?イイ加減にしろコノヤロー!」 遂にこちらも『コノヤロー』を繰り出して仕舞った。 「何か装備を整えて下さい。」 「それでイイんだYO」 「え~と両刃刀に、スピアー、アックスに、ステッキ、グローブに、何で9番アイアンなんだ?…おっ、在った在ったコレにしよう。」 手にした者は日本刀だった。 「コレなんて云うんだ?…そうじゃなくて。銘刀だろ? 「エクスカリバーです」 これの何処がエクスカリバーだと云う筈がない。どちらかと云うと正宗の方が適切であろう。 「コレの何処がエクスカリバーだ?」 ツッコミを喰らわしてやった。すると、以下の訂正を極め込んだ。エクスカリパー、スライスチョップ、オニオンキング、クリストファー・ロビンの贈り物と、遂にはクリストファー・ロビンすら駆り出された。 「クリストファー・ロビンはカンケー無いだろ。ワケ解らん」 「失礼致しました。では正宗さんで善いです。」 「善くねーだろーが?」 何処までも『テキトー』である。そして、筆者すら『テキトー』である。何を考えているのか全く解らない。 「まあ善いや。えーと次はっと…、陣場の羽織と革のズボンにブーツ…えーと…」 準備が順調に進んで来たが、下の如く割り込まれた。 「スタイリッシュ・セットも御座いますが」 覚えず、内約を訊いてみた。 「全ての装備が揃ってますが」 在るなら始めから出せよ…。既に時遅し。
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