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さて。ここで、天照(あまてらす)高校一年B組の大富豪のルールを説明しよう。
一番最初に出すカードは『ハートの3』。ハートの3が手札にあった人が出し、そこから時計回りにカードを出していく。
革命(四枚同じ数字のカードを出すと、ジョーカー以外のカードの強さが反転する)あり。
8切り(8を出すと無条件で8を出した人から再スタート)あり。
都落ち(大富豪になったプレイヤーが平民以下になると、無条件で大貧民に)無し。
と、まあこんなルールで大富豪をプレイしていたわけなのだが……。
「うがぁー! また負けた!」
一番負ける確率が高いのが、劫火くんだった。
ま、ものすごく顔に出るしね。
で、一番勝率高いのが、
「…………」
果実ちゃんです。
劫火くんとは正反対で、一切顔に出ない。
ものすごいポーカーフェイス。
キーンコーンカーンコーン♪
「あ、予鈴……」
「次の授業グラウンドだから、早めに終わりましょうか」
手早くトランプを片付けて、ジャージに着替えるために更衣室へ行く──
「じゃ、また後でねー」
そう言って消えていった稲美さんたちを名残惜しくも見送って、ぼくたちも更衣室へ……。
更衣室は体育館の入り口の左右にある。入り口に向かって左が女子、右が男子だ。
今は劫火くんと並んでジャージに着替えている。
「……なぁ。後ろから視線を感じるんだが」
「そう? ぼくは感じないけど」
でも、後ろがざわざわしているのは確かだ。
(なぁ、空。後ろで何やってるか見てくれ)
(? いいけど……)
静かに後ろを振り返ると、デジカメ(しかも最新型)を持っている男子と目があった。
「…………」
「…………」
ここで少し計算してみよう。
『劫火くん(見た目は女の子)』+『デジカメ(最新型)』=『犯罪の香り』
クラスメイトが犯罪者になっている。
「お前ら……」
劫火くんは髪を燃え上がらせて怒っている。
「や、やべぇ!?」
「総員退散!」
「逃げろー!」
「消し炭にしてやろうか、おらぁ!」
男子は一目散に更衣室を出ていった。
劫火くんは、怒りが収まらないのか、能力を解除しない。
「……時間も無いし、グラウンド行こ?」
「なぁ。授業中にクラスメイトが炭になっても、それは事故だよな?」
「いや、事件だよ」
大事件だ。
こんな馬鹿トークをしながら、グラウンドに向かった。
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