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自分の部屋の開いた障子を見ると、予想通りの人物…
自分のいる学年で双忍と呼ばれている内の片割れ"鉢屋三郎"だった…
三郎は、俺を見るなり愚痴をこぼした。
「なんだ、やっぱり起きていたのか…つまんないなぁ。」
「呼び掛けもなしに部屋に入った第一声がそれか。」
「今更じゃないか。」
「三郎、何が不満なんだ?」
明らかに不満だと書いてある顔に問い掛けると、相手が答えるより先に別の人物により中断される。
「ごめん、悠。こっちに三郎が」
「もう来てる。」
「…ごめん。」
双忍のもう片割れ"不破雷蔵"だ。
雷蔵が「こっちに三郎が来たか」と聞くのを遮って答えると、申し訳なさそうに謝った。
そんな雷蔵に手を振りながら言う。
「いいって、今更だし。それに、謝罪なら雷蔵じゃなくて三郎が言うものだろ。」
「え、うん。そうだけど…」
「まぁ、悠がこう言ってるならいいじゃないか。」
「三郎、お前が言うな。」
というより、張本人だろう。そう言うとなんて事のないように笑いながら…
「まぁまぁ、気にし過ぎるとハゲるぞ。」
「あぁ、そう。それで雷蔵、ハチは?」
「多分、まだ…」
「なら、起こしに行くか。」
そう言って、部屋の外へ出て雷蔵の所で止まると振り返る。
どうやら、自分も着いて行くのが確定らしい…
そして、雷蔵達に続いて部屋を出た。
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