殿さまと書記

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 となりのクラスの金森みさと。先週から書記に誘っているのに、彼女からはいい返事がいまだに貰えない。  ほかの奴らは快諾してくれたものだが、これはどういうことだろう。  生徒会が、名前ほどお堅くないことは説明したし、書記の仕事も難しいものではないし、手芸部の合間を縫って出てくれればいい、ということも伝えた。  風紀委員の委員長・佐倉にしろ、みさとにしろ、どうして俺は嫌われるんだろう。  わけがわからん。  よし、と腹から空気を吐き出すと、気持ちを引き締めた。 「みさとちゃん口説いてくる」 「またですか。こりないですね」  木田の返事に、10回以上行ってるけどその一言はひどい! と泣き真似をしてみせたが、反応はなく、自分ひとりがなんだか痛い奴であった。 「それは先輩いじめというものだっ」  ばたばたと生徒会室から出ていく戸ノ上の後ろ姿を見ながら、木戸はため息をついた。 「そういう、うっとーしいところだと思いますよ」  それすら魅力なのだから、我らが殿は人気者なのだが。
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