―夢の続きは―

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満天の星が世界を見下ろしていた。 久しく混沌に包まれていた世界。 人々は互いに争い、憎しみ合い、そんな悲しみの連鎖を断ち切れないでいた。 しかし悲しみの連鎖は突如として断ち切られる。 トリスティア王国。それが連鎖を断ち切った者の国。 しかしトリスティア王国には平和が訪れたにも関わらず、怒号や悲鳴、剣戟の音が響き渡っていた。 「リリーナを探せ!」 クリスは配下のものへと指示を出す。 リリーナとは、このトリスティア王国を治める王であり、この王城の主であった。 クリスは自らに襲いかかる見慣れた鎧を着た兵たちを槍で次々といなし、城内を猛然と進む。 「リリーナ様を発見致しました! 王の間です!」 すぐさま配下から発見の報告が届く。 既に城内は乱戦になり、組織だった抵抗は見られていない。 歩き慣れた廊下を早足に、上の階層にある王の間へと向かう。 王の間に近づくにつれて兵はいなくなり、外界と遮断されたかのように自らの足音だけが響く。 軽快な足音とは裏腹に、クリスの気分は酷く沈んでいた。
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