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光が見えたとき、僕は病院の白い天井を見つめていた。
頭が痛む。手を当ててみれば、そこには包帯が巻かれている感触があった。僕が目を覚ましたからか、医師か、看護師か、白衣を着た女性が話しかけてきた。ぼんやりとした意識で、僕は彼女の安否を聞いた。
その人は悲しそうに顔をしかめ、うつむいた。
いや、いい。言わなくていい。わかっているから。
窓の外からは、小さい丘と桜の木が見えた。桜の木、その美しい姿と共に、その美しい散り様が象徴しているのは、死。
なぜだろう?
最後の別れなのに、不思議と涙は流れなかった。
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