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「1年…5組だ、私。」
さすがに慣れてきて小学生の頃みたく
ワクワクしなくなったクラス替えの紙。
私、朝比奈梢は最初の文字が「あ」で
すぐ見付かるというのもワクワクしなく
なってしまった理由の一つかもしれない。
先生の教室へ行くようにという声に反応
した生徒達が、ぞろぞろとガラス張りの
ドアをくぐっていく。
私もその中に入って
一緒に教室まで行こう。
そう思った時だった――――
「おい!!お前は何て格好をしてるんだ!!」
白髪のすき間から少し地肌が見えている
ぽやぽや頭の先生が声を張り上げていた。
「えーっ、何…?」
「…っるせーなあ…」
みんな口々に愚痴を漏らしはじめた。
そして少しの沈黙が流れ、先生が叫んだ相手と思われる一人の男子生徒が、建物の陰から現れた。
「うわ…」
思わずそう言ってしまった私は、自分の手で口を押さえた。
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