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「お前次第だよ」
「・・・え?」
それはオッサンから発せられた、俺の心を読んだかのような言葉だった。
「どうせ汐を喜ばせてあげられるかだとか考えてたんだろ?違うのか?」
「いや・・・、あまりにも的を射た言葉だったから驚いたんだよ。オッサン人の心が読めるのな」
「んなわけあるかっ!・・・顔に出てたんだよ。まぁそんな深く考えるな、目一杯遊んでやればそれで良いじゃねぇか」
「・・・ああ!」
そうだ。俺は汐の父親なんだ。
なら、汐を楽しませてやるのも父親の、俺の役目。
目一杯遊んでやることが、今この時の俺が汐に与えられる最大の愛情、そして思い出。
こんな簡単なことだったんだ。何も悩むことはなかった。ただ、汐の傍で遊んでやれば良い。
そう、風子も一緒に。
「パパー!はやくー!」
「岡崎さんッ!何やってるですか!早く海に入りましょう!!」
小さい二人が催促してくる。行ってやらねば。
「早く行ってやれ、場所は俺たちが探しておく」
「朋也さん、怪我にはくれぐれも気をつけてくださいね」
「えぇ、分かりました。オッサン、荷物、悪いな」
「気にすんな、お前の荷物だけここに置き去りだしな」
「おぃッ!!」
オッサンは鬼畜だった。
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