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「この前みたいに二人だけで取り残されるなんてことはないよな・・・?それはそれで汐と行けるならいいけど、せめて早苗さんは欲しいよな、汐?」
「ついでにアッキーも」
「汐よ、名前を挙げてくれたのは嬉しいが、おまけみたいな言われ方でアッキーは悲しいぞ・・・」
オッサンはいい歳して本気で泣いていた。
自分より年上だというのが、果てしなく疑わしい。
「それじゃあ、水着も買わないといけないな」
今まで汐を海に連れて行ってやることなんてなかった。もちろん水着を買ってやることも。
汐が生まれて5年間、俺は汐の手をとることを拒絶してきた。今思えば、なんて愚かなことだったんだろう。
古河夫婦に汐を任せ、自分の中にある砂時計をひっくり返すことをやめた。
だが、そんな生活に終止符を打った。砂は下の世界に山を作り出し、俺と汐の間の止まった時間は、既に動き出していた。
この夫婦には、感謝しても感謝しきれない。
「それも含めて、しっかり準備しておけ!」
「おー!」「おー!」
「・・・ぉ、おーぅ」
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