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森の中で旅人が歩いていた。汚れた服にすすけたリュック、ぼさぼさの髪をした、見るからにみすぼらしい旅人だった。
「もしもし、そこを行く犬さん」
旅人は前を横切った犬に話し掛けた。
「僕は幸せを探しています。どうすれば幸せになれますか?」
すると、犬は「ここ何日か獲物にありつけていない。幸せでないものが、幸せがどんなものか知るわけがないだろう。ああ、肉が欲しい」と言った。
旅人はリュックから干し肉を取り出して犬に手渡した。
犬は嬉しそうに飛び跳ね、干し肉をくわえてさっさとどこかへ行ってしまった。
旅人はまた歩きだした。
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