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そう突っ込みたくなったが、ここはぐっと堪えて、今一番聞きたいことを質問する。
『…なぁ』
「なんですか?アリス」
『何で俺、こんな所に居るんだ?』
「選ばれたからですよ、アリス。」
『選ばれた?誰に?』
何故俺なんだ、というか何故女装?
「誰に、と言われると返答に困りますが…ここは、アリスが居た世界とは反対…全てがあべこべな世界になっています」
訳が分からん…いかん、頭が混乱して何が何だか分からなくなってきた。
『何で俺のことをアリスって呼ぶんだ?』
「アリスはアリスだからですよ」
『何でエプロンドレスを着ているんだ?俺は男だぞ』
「アリスだからです。それに、アリスに性別は関係ありませんよ」
…そうなのか、分かった。
というふうに納得出来るヤツが居たら連れて来い。
何故納得出来るのかを小一時間程問いつめたい。
「それではそろそろ始めましょうか、アリス?」
にっこりとそう言い、男は俺に近づいて、
『何を…ぅあっ!?』
ちゅっ、という可愛い擬音を立てて、男が俺の首筋に吸い付いた。
「これでよし、と…頑張って捕まえて下さいね、アリス?」
『い、今何を…っていうか俺、男で…お前も男で…え?つ、捕まえ、る?』
羞恥心やら、吃驚したやらで、顔が熱くなるのが分かる。
「これはゲームですよ?俺を捕まえてくれないと帰れませんから、ちゃんと追いかけて下さい。」
男は至極楽しそうに答えた。
『え…?』
俺はまだ理解出来ず、固まっていた。
「因みに俺の名前は【シキ】です。それではアリス、頑張って下さいね。」
男…シキはふふ、と笑って、森の中に走り去っていった。
『…マジかよ』
俺は一人、空を見上げて呟いた。
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