猫の星空

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
夕焼け空の下 猫が一匹 僕は猫を追い掛けた 君に逢える気がして 街の中をスイスイと進む猫 僕は必死に追い掛ける ふいに猫が止まる 行き止まり… 静まり返った路地裏… 僕と猫は見つめ合う 「何かよう?」 「あの人を探してるんだ。君は知らないかい?」 猫とそんな会話をしたように思えた   夕焼けが沈む空の下 あの人との思い出を思い返した 楽しい時も悲しい時も一緒だった時間を… あの人からもらったプレゼントが 僕を苦しめる でも もうあの人とは僕の記憶の中でしか逢えない 「あなたは元気ですか?」 問い掛けに猫が答える 「ニャ~」 フフ… 僕は笑って 空を見る この空を君はどこかで見てるんだよね?   夕焼けが終わり 月が輝く空の下 僕は猫と一緒に帰る 途中で猫は立ち止まり 僕を見る 「君はそっちだったね」 「また…ね」 スタスタと行く猫を見送り 僕も帰る 何も残さずに… 別れ行く僕と猫の上では たくさんの星が輝いていた…
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!