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夕焼け空の下
猫が一匹
僕は猫を追い掛けた
君に逢える気がして
街の中をスイスイと進む猫
僕は必死に追い掛ける
ふいに猫が止まる
行き止まり…
静まり返った路地裏…
僕と猫は見つめ合う
「何かよう?」
「あの人を探してるんだ。君は知らないかい?」
猫とそんな会話をしたように思えた
夕焼けが沈む空の下
あの人との思い出を思い返した
楽しい時も悲しい時も一緒だった時間を…
あの人からもらったプレゼントが 僕を苦しめる
でも もうあの人とは僕の記憶の中でしか逢えない
「あなたは元気ですか?」
問い掛けに猫が答える
「ニャ~」
フフ…
僕は笑って 空を見る
この空を君はどこかで見てるんだよね?
夕焼けが終わり 月が輝く空の下
僕は猫と一緒に帰る
途中で猫は立ち止まり 僕を見る
「君はそっちだったね」
「また…ね」
スタスタと行く猫を見送り 僕も帰る
何も残さずに…
別れ行く僕と猫の上では
たくさんの星が輝いていた…
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