勇者さん登場

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なんとか少女を小屋のベットに寝かせる事ができた。 二階に運ぶのは大変だった。 足をぶつけてしまわないように慎重に抱えて運んだから。 結構腰にきている。 馬は家の近くの木に繋いだ。 おとなしい馬だった。   さて、確か彼女はお腹を空かせていたはず。 僕はアップルパイと紅茶を手早く準備して、持って上がった。 やはりこのアップルパイは中々の出来だ。 香ばしく自分が空腹であることを思い出させてくれる。   そんな事を考えながら部屋に入った瞬間、   パチリ   と本当に音がしたのかと思う程急に大きな目を開いて、少女は目覚めた。 その目はアップルパイを凝視している。   ベットの傍にある小さなテーブルに、先に右腕に抱えた紅茶と指で持った2つのカップを置いた。   まだ少女は左手に乗せた皿の上のアップルパイを凝視している。 思わず「ふっ」と笑ってしまった。 少女が一瞬だけ僕の顔を見た。 だが少女は次の瞬間にはまた、よだれでも垂らさんばかりにアップルパイの凝視に勤しんでいた。   僕はアップルパイもテーブルに置き、   「どうぞ」   と言ってやった。
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