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「君……ラキさん…ラ…ラキは、何故この森に来たんだ?」
なんども呼び直したのは、彼女の大きな瞳が僕を見つめるから。
これが無言のプレッシャーか。
彼女…ラキは少し満足そうな顔をしてから言った。
「…昔、2000年くらい前、この世界には魔族と呼ばれる者達がいた…
って言ったら驚く?」
魔族の事には驚かなかった。
僕は彼らの存在を知っていたから。
しかし、驚いた。
ラキが何故それを知っているのか、と。
魔族の存在は、彼女がこの森に来た理由にどう関係するのか…。
ラキは僕が魔族の事に驚いたと思ったのだろう。
「信じ…られないわよね…?
でも事実だったの。
世界でもその事をちゃんと知ってるのはほんの一部の人だけ。
あ、教会が言う悪魔とは同じ物ではないの。
世界には空想ではなくて、実体のある魔族と呼ばれる者達がいたのよ。」
知っていた。
よく知っている事だ。
そしてそれは真実だ。
「いや…信じるよ。」
僕がそう言うと、彼女は少しだけ目を細めて微笑んだ。
「そう…そう言ってもらえたのははじめてよ…。
…でね、魔族は人間との戦争に負けて滅んだの。」
戦争…か……。
魔族はほとんど一方的に攻撃を受けていた。
ラキはそれを知っているのだろうか。
ラキは話を続けた。
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