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「私ね…、昔の事とか興味あったし、すっごく勉強して考古学者になったんだよ?」
彼女は少し俯いて話しを続けている。
そんな中、僕は何か胸騒ぎを感じ続けていた。
―――なぜだろう?
僕の頭にはモヤモヤとした何かが蠢いている。
―――なぜ…彼女は――
「―――…だからね、わかったの。」
彼女の話があまり耳に入ってこない。
それほどにまで強い胸騒ぎ。
なぜ、彼女は今、こんな話をするのだろうか?。
「あなた、魔王でしょ?」
――あぁ。
心の中で叫んだ。
悲しむように。
祈るように。
彼女の瞳は真っ直ぐに僕の眼を捉えている。
逃げられない。
言い逃れる事もできない。
頭が回らない。
どうすればいいか分からない。
僕はただ、彼女の瞳を見つめかえすしかなかった。
動揺を隠す事さえできずに。
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