勇者さん登場

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「さてと…」   僕は毎朝、お墓に行く。 と言っても、小屋のわきにそれはある。 毎朝、僕はこのお墓の前で手を合わせる。 ここに眠るのは、昔僕と住んでいた人。 彼がいたから、今の僕はいる。 彼が見守ってくれるから、今の僕であれる。 でもやっぱり少し寂しい。   お墓に行ったその足で井戸から水を汲んで、小屋へ帰った。   さて…と… 今日は誰かが来るかもしれない。 おもてなしの準備をしなきゃ。   僕は年に二度の贈り物の袋を開いてみた。 中にはおもてなしに使えそうな物もある。   「うー…ん…、よし、パイでも作るかー。」   独り言。なんか寂しい。   この小屋キッチンは小さいわりに設備は整っている。 オーブンもある。 今はもういない人が料理好きだったから。   パイの材料は一通りある。 林檎もまだある。   よし、パイでも作り始めるか。   今回は口に出さなかった。 また寂しくなってしまうから。   兔なら死ぬ程の寂しさ。 まだ慣れられなかった。
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