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震えるみたいに小刻みに腰を揺らし、熱いものが体内に流れ込んだ。同時に、待ち焦がれた出口を目指し、俺もまた白濁とした液を放った。
「椎名さん…椎名さんっ…」
「……ひう、あ、あああッ…」
喘ぎっ放しだったせいか、まともに声が出ない。俺が自分の腹の上に撒き散らした精液を阿久津が丁寧に拭き取ってくれている間も、弛緩しきった身体を投げ出して、天井の灯りをただぼうっと眺めていてーーー。
そうしている内に、俺はいつの間にか眠りに堕ちていた。
◆ ◇ ◆
デミグラスソースのほの甘い香りが鼻を擽って、俺の意識が浮上する。ぐぅと自分の腹の虫が鳴いて、俺は急かされるように体を起こした。
「椎名さん、やっと起きましたね」
起き上がった俺の姿を確認した阿久津が、キッチンから声をかけてきた。
「……今何時?」
「6時ですよ。少し早いですけど夕飯の準備してますから、もう少し待ってて下さいね」
そう言い残して、阿久津は再び料理に取り掛かる。そう言えば、昼飯食ってないなとか思い出してた。夜勤終わって仮眠して、阿久津と合流したら一緒に食べようかなとか考えてたんだっけ。
食欲をそそる香りに、また腹がぐぅと鳴った。
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