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団地は二棟が互いに向かい合う形で建っている。
その間に雑草の伸びきった公園があり、
その空間は廃れてるとしか言いようのないものだった。
鎖の千切れたブランコ、錆び付いた鉄棒、真ん中に穴の空いた滑り台、
と公園というよりは最早お化け屋敷のように思える。
――――不意に影が二つ視界を飛翔した。
団地の窓ガラスは蒼さの強い月を映している。
ちらほらと浮かぶ黒い雲は雨雲だろうか。
――――一つの影が俺を睨んだのがわかった。
その瞳に引き寄せられるように、
影が昇っていった団地に足を踏み入れる。
ホラー映画で死ぬパターンだ、
と妙に客観的にそんな事を思う自分がいる。
階段は少ない間隔でコの字で上へと続いていく。
住居者のいない団地は異界と比喩するのが正しい気がする。
カツ、と階段と靴が鳴く。
心臓の高鳴りとともに、呼吸が浅くなる。
建物は六階建てだった。
屋上は七階に位置していて、
屋上へ続く錆びきったドアノブを回す。
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