月下狂想

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「でも、どうしてそんな話が沢村にきたんだ?」 ミコさんの小動物に近い丸い目が、俺を遠回しに侮辱しているのがわかる。 一見して中学生、 二見目は生意気な中学生、 三見目でようやく普通じゃない高校生に見えるのがミコさんで、 顔や声は相当幼い。 そんなミコさんに馬鹿にされると、破壊力は抜群なのだ。 「剣道部の後輩で、結構慕われてたんですよね」 「ほぅ……沢村が? まあいいや。どうして事件に巻き込まれたと思うんだ?」 「もう二カ月近く家に帰ってないらしくて」 「事件が起き始めたのが二カ月前か……確かに巻き込まれたと考えるのが普通だな。名前は?」 「安田祐介です」 まだ中学三年の安田が家出を二カ月も出来るとは考えられない。 捜索願も出されているみたいだし、 そもそも金銭的な援助がなければ不可能だ。 「――で、沢村に捜してくれと?」 「……はい」
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