月下狂想

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特定の友達はいないが知り合いが多い俺にはそういった頼み事が年に二回くらいの割合で訪れるのだが、 正直そんな探偵紛いの事は嫌いだし、苦手なのだ。 「なんだ、断れなかっただけか」 俺の顔を見てニヤケるミコさんの顔は果てしなく子供だ。 「イエスマンはよくないぞ」 「ノーしか言わないミコさんもどうかと」 少なくともイエスマンが嫌われる事はないが、 ノーしか言わないミコさんには敵が多い。 まあ尤(もっと)も、ミコさんは他人は他人と本気で割り切れる人間なので関係ないらしいけど、 俺にはそういう割り切り方が出来ないので極力敵は増やしたくないので、 こういう生き方をしている。 「それで私の意見が欲しくて久し振りに顔を出しにきたのか」 と、ミコさんの丸かった目が射抜くように尖ったので、 俺は視線を床に沈めた。 「いいよ、別に。たかが一カ月も顔を出さなかっただけだろう」 接続詞がおかしいです、とは言えない。 「朝霧巴って知ってるか?」
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