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「やだ。何赤くなってんのよ? 私はね、凛から鉄仮面に、そーゆー事はちゃんと言ってやんなさいよって話をしてんの」
「赤っ……って、何を?」
そんな急激な顔色の変化に堪らず噴き出す日向に、両の頬を掌で被いながらも、凛は疑問符を投げかける。
すると、突然胸の前で手を組んだ日向が、これがその答えだとばかりに乙女の祈りのようなポーズを取った。
「キスマーク。付けても良いけど……見えるトコには付けないでね。って」
かと思えば、瞳をキラキラと輝かせ、ぶりっ子口調の上目遣いでそんな事を言って退ける。
その仕種は、恐らくそこら辺の男子生徒、若しくは弦ならば簡単にイチコロにしてしまう代物だろう。
が、そんな物に凛が引っかかる筈もなく。
「……何、そのあからさまにハートマーク付いたみたいな言い方……」
「あは。でも、凛がこんな言い方したら、鉄仮面てば面白がってもっとやり兼ねないわね」
顔にはまだ熱を帯びたままだったが、その視線と声色に出来うる限りの冷めたさを乗せて。
精一杯のジト目で凛が見やる中、日向はそれが自分の事で無いのを良い事に、からかうように言って笑った。
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