第九章 ただ愛する君のために

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『……紅蓮の鉄甲、あなたは呼んでいない。 今すぐここから立ち去るならば、レインに免じて命を取るまではしない』 それは、最初であり、最後通告なのだろう。 有無を言わせぬその口調、実力が伴っている分、余計にたちが悪い。 《あの子、随分と余裕が無くなっているみたいね。 寄りによって、敵を殺さないって約束を破る覚悟をしてるなんて……》 由真の中で、ルーシアは呟く。 幸い、ルーシアの存在は気付かれていないようだが、そのアドバンテージを差し引いても、未だ不利である。 レラジェが立ち上がる。 どんな行動にも対応できるはずだ。 不意打ち、奇襲などは考えられない。 レラジェの鋭い眼光が、立ち尽くしたままの由真に突き刺さる。 だが、 「ふざけるんじゃないわよ! 私は、空を連れ戻すためだけにここに来たのよ! 今更何を言われようが、この意志は変わらない! 分かったら退きなさいレラジェ。 退かないなら、容赦しない」 それは由真の意志であり、精一杯の強がりだ。 しかし、だからこそ、レラジェの心に傷を付ける。
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