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『……紅蓮の鉄甲、あなたは呼んでいない。
今すぐここから立ち去るならば、レインに免じて命を取るまではしない』
それは、最初であり、最後通告なのだろう。
有無を言わせぬその口調、実力が伴っている分、余計にたちが悪い。
《あの子、随分と余裕が無くなっているみたいね。
寄りによって、敵を殺さないって約束を破る覚悟をしてるなんて……》
由真の中で、ルーシアは呟く。
幸い、ルーシアの存在は気付かれていないようだが、そのアドバンテージを差し引いても、未だ不利である。
レラジェが立ち上がる。
どんな行動にも対応できるはずだ。
不意打ち、奇襲などは考えられない。
レラジェの鋭い眼光が、立ち尽くしたままの由真に突き刺さる。
だが、
「ふざけるんじゃないわよ!
私は、空を連れ戻すためだけにここに来たのよ!
今更何を言われようが、この意志は変わらない!
分かったら退きなさいレラジェ。
退かないなら、容赦しない」
それは由真の意志であり、精一杯の強がりだ。
しかし、だからこそ、レラジェの心に傷を付ける。
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