第九章 ただ愛する君のために

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「でも、幸いレラジェに勝つ方法を見出すことができた。天野紗希には感謝しても感謝したりないわね」 《ルーシア、それって》 「ダメ。今は理論上ってだけで、実際はどうなるか予想もできないんだから。まぁ、あなたを強くする合間に理論を完成させるから、もう少し待ってなさい」 焦らされるようで決して気分の良いものではなかったが、それでも由真はそこで口を閉じ、ルーシアと共に記憶の海の底に沈んでいった。 由真が目覚めた場所は、見たこともない神殿だった。 その造りから、由真達の時代の建造物でないことは容易に想像が付く。 ならば、ここは由真よりもむしろルーシアの記憶の中なのだろう。 「記憶の海っていうのは、言ってしまえば集合的無意識の収束地点なの」 神殿の奥の扉が開き、そこからかつての姿をしたルーシアが歩いてきた。 「本来、人間の脳は情報の送受信機能がある。まぁ、私たちの時代でもその力を持ってる奴なんて稀だったけどね。 その情報の発信源がここ、収束地点よ。誰とでも情報のやり取りができるし、誰とでもここでなら会うことができる」 その威圧感は、以前感じた通り。自然と由真は身構えてしまっていた。
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