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「ゆ………雪!?」
慌てて助け起こすと、白目を剥いて失神していた。
昨日、今日しか雪とは居ないけれど、本当に何かの病気じゃないのだろうか。
だんだんと心配になってきた俺は、扉の外から二つの足音が聞こえてその扉を勢いよく押し開けた。
「千夏ちゃん!!ヨッシー!!雪が!!雪が!!」
………あれ?千夏ちゃんじゃない。ヨッシーじゃない。なんせ、ヨッシーみたいに顔が濃くない。
「………………。化け物君……その格好をどうかしたまえ。今日は一段と人の道を踏みはすしているぞ。」
「………妖怪。」
外を歩いていたのは、千夏ちゃんじゃなかった。
『たまえ星人』こと『しなびた耕運機』こと………里伊田 皇紀とそして……ゴミ箱をぶったおした人兼食堂を直線で突っ走った強い人だ。
もちろん、このゴミ箱をぶったおした人は、体は強いようだけれど、精神はかなり弱いらしい。
その証拠に、その人はふらふらふら~っとして、そのまま廊下を歩いて行ってしまった。
けれど、気になることはそこじゃない。それ以上に『たまえ星人』に……人の道を踏み外していると言われたのは流石にショックだった。
この格好はそれなりに普通だと思うんだけど……。
なんせ、昨日のは原型も残さない程に変装していたけれど……今日は原型が少しだけ残っている。
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