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「仮装じゃない!!これは俺の病状菌の一つだ!!」
「………病状菌?何だね、それは。」
「いや、顔の筋肉ってそう言うんじゃないのか?」
「……………。」
里伊田の表情が一瞬だけ引きつって、雪の事を可哀想なものを見るような目で見つめる。
「こんな珍獣が存在しているのか……。」
「おい。」
「………化け物君、一つだけ聞きたまえ。君が言いたい事は理解した。だが、それは決して病状菌ではない。…………表情筋、だ。」
「おしい!!」
「どこがだよ。」
俺の言葉に突っ込みながら、雪がむくり、と起き上がった。
そして、里伊田の事を見るなり、むっと顔をしかめて、言った。
「………二年のスペシャルクラスの人間がこんな所で何をしているんですか?」
「……………。」
「雪、こいつ雪の事を助けてくれて……。」
「アキラは黙ってろ。」
そう冷たく言って、雪は先刻までの優しい表情をどこかへと追いやって、里伊田を睨みつけた。
雪は、笑っていても馬鹿面をしていても顔立ちが良いと分かる程、綺麗な顔を持っている。
そんな雪が凄むと、かなり恐ろしいものがあった。
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