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「クリス!あなた、いい加減に…」
「なんだよ!母さんに何がわかるってんだよ!!」
「クリス、あんまり母さんを…」
「うるさい!父さんには関係ないだろ!?」
「クリス!お父さんに八つ当たりするんじゃありません!」
「うるさい!母さんなんか嫌いだ!みんな嫌いだ!こんな家、出てってやる!!」
「まちなさい、「クリス!」」
外は寒い。とてつもなく寒い。
凍える身体を抱きしめ、自分の行動が少し浅はかであったと、クリスは後悔した。
しかし、すんなり家へ帰る気はさらさらない。
「母さんが謝るまでは帰らないからな…」
時々小さく呟き、自分に言い聞かせる。
家出の原因は、同じクラスの男子達によるいじめ。クリスは、中学校へ通っているが、二年生になってからずっと、いじめられてきたのだ。
そして、約十ヶ月間耐えたが、遂に爆発。男子の一人の顔面にいってしまったのだ…グーで思いッきり。
それを母さんに怒られたのだが、母さんは一方的に怒鳴るばかりで、話しをまったく聞いてくれなかったのだ。
「殴るくらいなんだよ…今までに僕がどれだけ…」
殴られて、蹴られて、突き飛ばされて、画鋲を靴に仕込まれて、頭からペンキ被せられて、物盗られて、カツアゲされて、パシられて、けなされて来たのかしらないくせに…という言葉は言えなくなってしまった。道中ばったりと、いじめっ子男子に出くわしてしまったのだ。
「…」
「おやぁ?クリスちゃんじゃないか。さっきはよくも殴ってくれたね」
「…ども…」
「おかげですごく恥をかいたよ。」
ピシッときた。
だったらおまえに、殴られて、蹴られて、突き飛ばされて、画鋲を靴に仕込まれて、頭からペンキ被せられて、物盗られて、カツアゲされて、パシられて、けなされてきた僕はどれだけ恥をかいてきたんだろうね?とクリスはおもった。
「で、どうオトシマエつけてくれるのかな?」
「…は?」
キレた。
どうやらこの人は運がないらしい。あまりにタイミングが悪すぎたというものだ。
「てめぇ…いつまで調子ん乗ってんだよ、ああ゙?人が下手にでてりゃ付け上がりやがって!もっぺん、くたばりてぇのか?やんなら仲間連れてじゃなくて堂々とやれってんだ、こんの雑魚野郎!!小心者が!」
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