~序章~

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 なぜ、人は死を恐れるのだろうか?  幾度もなく思ってきた疑問だ。訳が分からない。俺は死が恐くないから。  経験したことのないものを恐れるなんて馬鹿げている。  ある人は言う。  分からないから怖い、と。  それもまた馬鹿げている。ならば生きることすら恐れなければならない。未来に起こることをその人は知らないのだから。  また、ある人は言う。  死んだら何もない、と。  ああ……、それもまた馬鹿げたことだ。死んだ後のことなど死ななければ分からないのに、なぜ何もないと分かるのだろう?  それはきっと、死んだ人間とは話すことが出来ない。そういったことから生まれた幻想のようなものだ。  知らないのに知っているフリをする人間。  科学の本質を分かろうともせずに、それを妄信する愚かな人間。  自身の信ずる『世界』が壊れるのを恐れ、それを破壊する『異常』を蔑み、排除することでその場しのぎの『安寧』を得ようとする愚かな人間。  自分が愚かなことすら知らない・認めようとしない愚かな人間。  そんなリアルに呆れつつ、俺は成長し、『真実』の一端を……垣間見ることになった。
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