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「ほぅ、お気づきで…」
村長は若干驚いたようにすると、ネックレスを外した。
「ぐあ゛あぁ゛ぁぃあ゛い゛あぁ!!!」
人間とは思えない奇声をあげる村長。
それと同時にメキメキと音をたてて、体が膨れ上がり始めた。
「わぁお、グロテスクだねぇ」
メギアは呑気に言う。ジクスも特に驚いていないようだ。
「これがワシの本当の姿じゃ」
今や村長は原形をとどめていなかった。
3mはある巨漢は、全身黒い剛毛で覆われている。背から生えた巨大な翼や頭から伸びる二本の角、そして切り裂くことのできないものはないような鋭い爪が妖しく光る。
「魔族か…」
「その通り
我々の体の殆どが魔力で形成されているが故、封魔身石を身につけることで普通の人間のような容姿で生活する事ができる事に気付いたのじゃ」
少し低くなった声で唸るように喋る村長に、周りの者は頷く。
「そうですか…
じゃあ、何故私にその話をしたんですだ?」
すると、村長がニヤリと笑う。
「それはジクスさん、貴方が一番わかっているのではないですかのぅ?
我々は人間ごときに自分の正体を明かさぬよ」
「ほぅ、ならば私が人間ではないというのですか?」
その問いに村長は妖しく笑う。
「ふむ、残念です
私は人間だ……少し特殊な、だが」
村長の顔から笑みが消えた。周りにいる者も警戒を強くし始める。
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