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「いや、有り得んのじゃ
ジクスさんは…いや、貴様は我等と同じ魔族ではないのか!?」
村長が丁寧な言葉遣いではなくなり、声を荒げる。
「ん~、惜しいですね
半分正解です」
「半分…だと?」
剣を構えている青年が眉をひそめて、ジクスを見る。村長の手にも、大型の槌が握られている。
「そんなはずはない!
貴様からは我等と同じ臭いがするのだ!!」
「へぇ、同じ臭いですか
それは……これの事ですか?」
刹那、ゴトン、と重々しい音をたてて槌の柄から先が木の床に落ちた。
「な!!!」
家の中にいる魔族全員が驚愕した。
その視線の先にあるのは、床に転がる槌の一部ではなく、村長のそれを越える程のオーラを放つ巨大な魔族の腕だった。
右肩より先が異常に巨大化しており、金色の鱗に覆われている。
「これが答えです」
ジクスは自分が爪で切り落とした槌に見向きもせずに言った。
「お、おまえは一体…」
「ずっと疑問に思ってたんですよ」
青年の言葉を遮りジクスが喋り始める。
「何故旅人が150年間も来なかったのか
何故旅人が来ないこの村の事を知っている旅人がいたのか
何故この村に魔物が寄り付かないのか…」
メギアだけが訳がわからないと言うように首を傾げている。
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