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―――ドン!!!
太陽が地平線から顔を出して間もなく、深い深い森の中に大きな音が響いた。
ドスンと地面に減り込んだのは、魔力を消費して動くマギアーク(地上を走る二輪車を指す)と一人の男性。
そして、おそらく衝突した時にへし折れたと思われる巨木が生きているかもわからない男性のほうへ倒れた。
ズズゥゥ…ン
無情にも、その巨木は男性に覆いかぶさった。
……………
やはり生きていないのだろうか…。
再び、静寂が深い森に戻ってきた……
「あ~、やっと目が覚めました…」
いや、幸運にも生きていたようだ。
倒れた巨木の下から若い青年の声が聞こえてきた。
次の瞬間…
「よいしょっと」
埋まっていた男性が巨木を片手で持ち上げた。
「あ~あ、環境破壊だ~」
「…うるさいですよ」
ブスっとした顔でマギアークの方を見るのは、銀髪長身で抜群の容姿を持つ青年。
その視線の先には…
「全く…僕は君みたいに頑丈じゃないんだから、もっと優しく扱って欲しいもんだね、ジクス」
その鎌首を左右にふりながら、呆れたように話す白い蛇がいた。
「はいはい…まぁ、いいじゃないですか
目が覚めましたし」
「目が覚めましたしって…普通の人間なら即死だよ?」
「知っていますよ、メギア」
「…はぁ」
ジクスと呼ばれた青年は金属でできている重々しいマギアークに跨がるとエンジンをかける。
「ちょ、待ってよ!」
メギアはその長い体を器用に動かし、跳び上がると、ジクスの右腕に絡まった。
「今日中には、次の国につきますかねぇ?」
ジクスは晴れ渡った空を見上げるとアクセルをふんだ。
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