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女性が去った後、ジクスはコートを脱ぐ。
下には黒いジャケットを着て、腰にベルトを締めていた。ベルトには大きめのポーチがついていて、そして左右腿には二丁のログ・ジコフス(ここでは魔力を消費して弾を打ち出す短銃)を吊っていた。
ジクスは二丁のログ・ジコフスを机の上に置き、背負っていた長刀を壁にたてかけた後にベッドに仰向けに倒れ込んだ。
「これは快適ですね」
思わずつぶやく。
「うん。屋根のあるところに泊まるのは一週間ぶりだもんね」
マットの上をウネウネ移動しているメギアが言った。
「はい、ところで気付きましたか?」
「何が?」
眉をひそめるジクスに不思議そうに返す。
「いや、この村…何かおかしくないですか?」
「そうかなぁ?みんな優しそうだったけど…」
メギアが先程の村人達を思い出しながら言う。優しそうな村長や女性の顔が記憶に新しい。
「……ふむ、そうですか」
何かに気付いたように起き上がりながら、そばにある長刀を手にとり、鞘から刀身を出した。
「いつ見ても凄いねぇ」
メギアは漆黒とも言える色の刀身を見ながら言った。
「はい、これを使う事がなければいいのですがが……」
ジクスは長刀を再び鞘におさめた。
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