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食後、ジクスを案内してくれるという男性以外の男達は馬に乗って、家畜の放牧に出かけた。
残った女性が、後片付けや、子供の世話などをしている。
ジクスがログ.ジコフスの点検をしていると、先程の青年が近付いてきた。
「どうですか、我々の村は?」
「えぇ、いいところですね
ところで、一つお聞きしたいのですが」
そう言うと、青年はどうぞと微笑んだ。
「お気を悪くしていただきたくないのですが
他の旅人に聞いた話だと…この村は差別が酷い村とのことだったのですが?」
青年の表情が僅かに陰ったような気がした。
「僕達は差別などはいたしませんよ
勘違いではないでしょうか?」
ジクスは、そうですねと作り笑顔でかえした。
「ところで、お兄さん
旅人はあまりこないって言ってたけど、どれくらい来てなかったの?」
今まで黙っていたメギアが声をあげた。
「僕の記憶が正しければ、ここ150年は来ていませんね
僕も旅のお方は初めて見るので」
「ふ~ん、そこまで旅人が来ない村って言うのも珍しいねぇ」
ジクスは、青年とメギアの会話をよそに、空を見上げていた。
青い空には、何匹の魔物が輪をかいて飛んでいる。
「ん?」
ジクスはある事に気付き、もう一度目をこらして空を見た。
「……魔物、か」
「どうしました?」
小さく呟いたジクスに青年は聞くが、ジクスは何もないと流した。
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