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「柚子は今日遅いのか?」
ネクタイを絞めながら、問いかけてくる。
「ぅん。今日は帰れないや」
私は看護学校に進み、今は看護師として病院に勤務していた。
今日は夜勤のために家に帰るのは朝になる。
「そっか…じゃあ式の最終確認とかやっとくわ。帰ってきたとき目通しといて」
「うん。ありがとう。」
朝の他愛ない話。
式が近いとその話が中心になってくる。
私は出来上がった朝御飯をテーブルに並べて頷く。
「食べようか」
「いただきます」
どうしても不規則になってしまう私は、少しでも優哉といれる時間を大切にいたいと思っていた。
少しでも会話できることが、触れ合えることが幸せだと思えるから。
優哉もその気持ちに気付いてなのか、会話や会える時間を大切にしてくれている。
そんな優哉の存在が今の私にはとても愛しかった。
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
玄関で見送る。
玄関がしまった後は、部屋に静けさが残る。
私は取り合えず洗い物や掃除を始めた。
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