戸惑い

3/7
前へ
/20ページ
次へ
「柚子は今日遅いのか?」 ネクタイを絞めながら、問いかけてくる。 「ぅん。今日は帰れないや」 私は看護学校に進み、今は看護師として病院に勤務していた。 今日は夜勤のために家に帰るのは朝になる。 「そっか…じゃあ式の最終確認とかやっとくわ。帰ってきたとき目通しといて」 「うん。ありがとう。」 朝の他愛ない話。 式が近いとその話が中心になってくる。 私は出来上がった朝御飯をテーブルに並べて頷く。 「食べようか」 「いただきます」 どうしても不規則になってしまう私は、少しでも優哉といれる時間を大切にいたいと思っていた。 少しでも会話できることが、触れ合えることが幸せだと思えるから。 優哉もその気持ちに気付いてなのか、会話や会える時間を大切にしてくれている。 そんな優哉の存在が今の私にはとても愛しかった。 「じゃあ行ってくる」 「行ってらっしゃい」 玄関で見送る。 玄関がしまった後は、部屋に静けさが残る。 私は取り合えず洗い物や掃除を始めた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加