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掃除を終えて時計を見ると、出勤までにまだ時間があった。
私は何を思ったのか、高校の時のアルバムを見ようと段ボールから取り出した。
ページを捲る。
そこには、まだ幼さの残る私や友達の姿がある。
そしてどの写真にも私の隣には、アイツの姿があった。
『白木 空(シロキ ソラ)』
その名前の空のように自由な人だった。
大きくて広くて何だかどんどん先に進んで行く人。
高校で初めて空に会ったときは、なんて光ってる人なんだろうと思った。
どんな時でも明るくて、クラスのムードメーカー。
まさか自分がそんな人と付き合えるなんて思ってもいなかった。
なんの取り柄もないような私が、空に告白されるなんて考えもしてなかった。
幸せだと思えた日々。
あの日が来るまでの2年半は、ケンカもしたけど幸せでお互いの存在が不可欠だと想ってた。
辛い日々が来るなんて、予想もしていなかった。
でも…
もし、あの日がなかったら…
私の隣には今も空がいたのかな?
優哉じゃなくて…空が…
私はハッとして首を振った。
―何を考えてる!?私には今優哉がいる!なのに!―
こんなことを考えている私が嫌になる。
どんなときも支えてくれた優哉がいるのに…。
空の姿を見たからなの?
私は考えるのをやめるようにもう一度首を振ってから、アルバムをしまい仕事に向かうことにした。
空
どうして今になって…
忘れたはずなのに…
全て忘れて優哉と歩んでいくって決めていたのに
どうしてあなたは現れるの?
忘れたはずなのに…
私の胸にあなたの爪痕が残っていたなんて。
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