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「おはようございます」
日勤の方々に挨拶。
みんな笑顔で返してくれる。
看護師になってからずっとお世話になっている病院。
私はカンファレンス(引き継ぎ)を終えてから、自分の担当患者さんの様子を見に回った。
いつもと変わらない日々と皆さんの表情。
私は最近入院してきた患者さんの元へと向かった。
「どうも、はじめまして木元柚子です」
「はじめまして、お世話になります」
目鼻立ちは整っているが、綺麗と言うよりは可愛いと言う言葉が合うような女の子だった。
彼女の名前は『白木 未来(シロキミク)』まだ16歳の女の子だ。
先日、学校での健康診断で異常がみつかり精密検査を行うために入院した。
「看護師さんは今日泊まるの?」
「うん。夜勤だからね。なんかあったら声かけてね。未来ちゃん」
屈託のない笑顔で返してくれる未来ちゃんに私も笑みがこぼれる。
挨拶をして少しの間他愛ない話をしながら、血圧や体調を見て私はステーションに戻ることにした。
―ドンッ
「キャッ!」
ドアを出て直ぐに誰かにぶつかる。
慌てて距離をおき、頭を下げる。
「すみません!」
「いえ…」
「…!!」
顔をあげて相手の顔を見て、一瞬気が遠くなるようだった。
そこに立っていた人物…。
それは『白木空』、彼だった。
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