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一人の男が大きな屋敷の廊下を全速力で駆け抜ける。
そしてある部屋の前で止まり、間髪いれずに扉を開けた。
「産まれた子は!? リーラは無事か!?」
「旦那様、少し落ち着いてください。
お子様もリーラ様も無事ですよ」
「本当か!! ………よかった」
いま安心したこの男は、産まれた子供の父親『ライル・グラント』
1000年前に実在した英雄を祖とする名門一族、グラント家頭主である。
「あらあら、いつの間にいらしていたのですか?」
このおとぼけキャラみたいな人は子供の母親『リーラ・グラント』
説明するまでもなくライルの嫁である。
「それで、産まれた子は男の子か!? 女の子か!?」
「立派な男の子ですよ」
リーラはライルに、抱いていた赤ちゃんをそっと渡した。
赤ちゃんはスヤスヤと眠っている。
「この子が俺の後継ぎか~
かわいい顔しやがって~」
親バカ全開である。
「名前をつけましょうよ」
「そうだな。
………カイル!! なんてどうだ?」
「あなたと一文字しか変わらないじゃないですか。
でも、それがいいと思いますわ」
赤ちゃんはカイルと名付けられた。
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