50人が本棚に入れています
本棚に追加
それからアイは、その過去を大切な宝物の様に話した。
その、友人の兄の友人と仲良くななるのに、さして時間は必要なかった。そして、友人宅で度々行われる家族でのバーベキューなどに、よくアイは呼ばれたのである。
その際、王子と言われる彼も参加していた。
恋心を抱いたのは、その頃である。
「告っちゃえば良かったのに」
それに、無理だって!と、声を上げた。
「相手は中学生だよ!」
自分はまだ、ランドセルを背負っているのに、出来る筈が無い。そう言うアイに友人は、まぁね、と答えた。
「んで、どこで逢ったわけよ。再会はぁ」
こちらも酔いが回ってきだしたらしく、顔が赤い。
「いつもの場所にいたらさ、声を掛けてきてくれたんだ」
「あぁ、堤防の土手?相手、アイって判ってたの?」
らしいよ、とアイは満面の笑みを浮かべて言った。
それからはアルコールの勢いもあり、二人はきゃっきゃとしながら、あれやこれやと話しの路線を蛇行しながら、話に花を咲かせていた。
最初のコメントを投稿しよう!