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きらきらと輝く彼はにっこりと笑んだ様に見えた。そしてそのまま、ゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。
「やっぱり、アイちゃんだ。どうしたの?」
そう言うと早瀬は自分の横に、当たり前の様に腰を下ろした。
「どうしたの?」
優しい笑顔の早瀬に心臓が高鳴った。あんなにもショックな事が有り、仕事も手に付かず、早退迄したのに。
そんな自分に心底、驚いた。
「はやせ…さん…?」
「そう。久しぶりだね」
早瀬が中学を卒業してから、自分も学業や部活動が忙しくなり、だんだんと友人とも疎遠になっていた。
故、早瀬とも会わなくなっていた。
「久々に、ここを通ったら泣いてるアイちゃんを見つけたから、声を掛けたんだ。変わらないね」
青年になった彼は、当時よりも背は高くなり、逞しい体躯になっていた。そんな事を漠然と、ぼぅっと考え込んでしまっていた。
「あ。ごめんね。一人が、良かったよね」
黙り込むアイが迷惑に思っていると感じたのだろう。早瀬は優しくそう言った。
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