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気がつくと3人は広々とした草原にポツリと立っていた。
前方には森、後方の奥には荒野のようなものが広がっている。
3人の今の心情をそのまま映し出しているかのようなどんよりとした曇天が真上に覆い被さっていた。
一昔前のRPGで最初に着ていそうな旅人の服といった感じの服を3人共着用していた。
地味な茶色の麻で荒く作られた生地がザラザラと皮膚を刺激する。
「……マジでゲームが始まったらしいな」
竜司の口から顔の引きつりと共に放たれた言葉。
とりあえず頬をつねってみる。
頬にヒリヒリとした痛みを感じ、明らかに現実だと物語っていた。
「……えっと、とりあえず携帯を見てみようぜ」
こんな状況でも意外と冷静に頭は働くもので、竜司がそう提案する。
順応が早いというより、そうならざるをえない状況なのだ。
携帯を開くと待ち受けにいきなりメニュー画面のようなものが現れる。
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《マイページ》
《チーム情報》
《情報管理》
《データフォルダ》
《特殊機能》
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あったのは5つの項目。
「……ん~と、マイページから見てみようぜ」
竜司がそう言って3人はマイページを選択する。
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【マイページ】
《ステータス》
《装備設定》
《メール履歴》
〔チームを作る〕
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「上から順に確認していこう。
まずステータスからだ」
3人はとりあえず草原へと腰を下ろした。
少し前に雨が降ったのか草達は露の衣を纏っていて、服の尻の部分にひんやりとした嫌な感覚が冷点から体に伝わった。
粗い生地なので染み込みが無駄に良いようだ。
リアル過ぎるゲーム世界。
リアルで現実に限りなく近いほど、逆に不気味に感じ、3人の心に不安が積雪のように積もる。
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