クリスマス・イヴ

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屋上から階段を降りて裏口へ出る。 そこには、1台の黒い車が止まっていた。 その車のナンバーを確認し、 少女は乗り込む。 少女はかけていたサングラスをはずすと、 静かにたたんでケースにしまった。 「お疲れ様です。」 そう言って、運転手は少女に暖かい紅茶を渡した。 少女は、差し出された紅茶を受け取り、 「あぁ…ありがとう。」 と言って口をつけた。 紅茶を持つ手を足の上に下ろした瞬間。 「…ッ!!」 左目のあたりに、激痛が走る。 それに気付いた運転手が、 バックミラーで彼女を見ながら、 「左目、まだ痛みますか?」 と言う。 「ああ…もう13年経つのにな…。」 少女は苦笑した。 車から流れていたラジオが、 日付が変わったことを告げる。 「12月24日…あなたの誕生日ですね、ティエラ。」 少女、ティエラは小さく頷いた。 「もう、14年前か…。」
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