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1日目
とりあえずは基本的な聞き込みからであろう。
私が便利屋扱いされていることはこの町では既に周知の事実と化しているような状態である。そんなことが2年も前から続いているのだから町の中にも協力者がいたりする。
まずは小遊鳥さんからもらった写真をコピーし、張り紙を作って小遊鳥さんの家の周りの半径1km圏内に張っていく。これで第一段階は終了。次に小遊鳥さんの家の近くを歩く人たちに写真を見せながら聞き込みを地道に続けていく。これを日が暮れるまで続けてみた。何か少しでも情報が手に入ると思ったが意外にもなにもわからずに終わってしまった。
2日目
朝食に食パンを何もつけずにはむはむと食べた。当然のことながら飲み物が欲しくなりコーヒーを淹れようとしたところで事務所の入り口からコンコンっと音が聞こえてきた。これはきっと小遊鳥さんだろう。こんな朝から来る人は今までにいなかったのだから、ついこの前依頼をしにきた彼女だと推察するのが妥当なところだ
「えと東雲さん、いますか?」
まさに思ったとおり小遊鳥さんだったがこんな朝早くからだと何かあるのかと訝かしんでしまう
「おはようございます小遊鳥さん。ここは私の自宅兼事務所ですからいつでもいますよ。それよりもこんな朝早くからどうしたんですか?」
実はですねと言って小遊鳥さんは屈託なく笑った後、後ろ手に何かを隠しながら歩いてくる。巧妙に隠しているつもりでも、紅の布がチラチラと見えているのはそこはかとなく苦笑を誘ってしまうような画だ
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