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「売れるといいな、俺ら」
ヒズくんが笑って言った。
その顔を見て、アタシはやる気が出てきた。
さっクンもく~ちゃんも、みんな笑ってる。
絶対成功させる…!
アタシ達なら絶対に大丈夫!
そんな気がする…。
――Mステ生放送、当日。
「よし!今日は頑張るぞ、お前ら!」
「「おうッ!」」
「気合い入ってんな。控え室は隣だから、何かあったら呼んで」
MAKI兄が気を使ってアタシ達に声をかけてくれた。
「はい!」
アタシ達は控え室に入ると、それぞれ準備を始めた。
ヒズくんとさっくんは、ギターの音合わせ。
く~ちゃんはスティックをどれにするか選んでる。
あたしは……
何しよう…。
何か飲み物でも買ってこようかな。
「ちょっと飲み物買ってくる。」
「おぅ」
はぁ~…。
アタシもしかして緊張してるの!!?
今までこんなに緊張したことないよ!!
――ガシャン。
ん?あっ……
「おぉ。お前か」
「TAKAHIROさん…」
今一番会いたくない人№1……
この人恐いし、何考えてるかわかんないし、よけい頭混乱するじゃん…。
「MAKIさん達に特訓してもらったんだって?」
「あっ、はい。おかげでチョット上達しました…」
TAKAHIROさんは買ったばかりのジュースを開けて、一口飲んだ。
ホントこの人…
顔だけはいいな…。
「お前は、どうして歌うの?」
「え…」
何だよこの人!
イキナリ何聞いてくんだよッ!!!
「……最初は、ヒズくん達に誘われて、遊び半分でやってたんです。でも、文化祭で人前で発表することになって。実際で人前で歌ってみたら気持ちよくて…。みんなも喜んでくれて、すごく嬉しかったんです。」
何こんなベラベラしゃべってんだ…?
TAKAHIROさんにこんなこと言ったってしょうがないのに…。
「アタシは、みんなに歌を聴いてもらって、喜んでもらいたいんです!」
「ッ!!」
その時、TAKAHIROさんが驚いた顔をした。
気のせいかな…?
「お前、ムカつくな。」
「はッ!!?」
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