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「お兄さんさぁ、そんな恐い顔してると幸せ逃げるよ?」
『は?何だコイツ』
「お前には関係ないだろ…――」
「ねぇ、お兄さん。音楽は好き?」
こっ、コノヤロウ…ッ!
人の話は最後まで聞きやがれってんだ!!!
こういう女は嫌いだ。
「アタシねぇ、こーみえてバンドのヴォーカルやってんだ。そだ!新曲聴いてみてよ☆」
『勝手に話を進めんなよ!!…どうせ大した曲じゃねぇだろ…。こんな奴が歌ってるバンドなんか…―――』
「♪~月の下に咲くキミは儚く綺麗で 届かないと分かっていても 手を伸ばしてしまう 僕はただ想うことだけしか出来なくて~」
『へぇ~、なかなか声は綺麗じゃんか。』
「アタシ、歌が好き!大好き!!アタシの歌で、みんなを幸せにするんだ!!」
コイツに出逢ったことで、俺は忘れていたことを思い出した。
自分のために歌うんじゃなくて、たくさんの人のために歌うんだって。
こんなガキに思い出させられるとは…。
「お前、名前は?」
「由華!自由の由に華って書いて、由華だよ!」
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