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「ただいま。」
結局、院長の話を聞いて病院から帰るのが日付が変わった頃になってしまった。
「俺…最低だ」
玄関で履き古したスニーカーを脱ぎながら自分への戒めを言った。
もうヒロさんは寝てしまっていると思ったから。
「誰が最低だって?」
だからヒロさんは寝ているハズ…
のはずなのにリビングの方からヒロさんの声が聞こえる。
ヤバイ、幻聴まで聞こえるようになったのかな。こんなにもヒロさんの声が聞こえるんだから…あれ。
「ヒロさん?起きてるんですか?」
寝ていたら起きてしまうと思ってそっとリビングに足を運ばせる。
リビングに近づくにつれ、足元が明るくなっているのでヒロさんは起きているんだと思った。
「…お帰り。」
ドアを開けた瞬間、耳までまっかにしたヒロさんが俺を待っていたかのように「おかえり」と言ってくれた。
ただそれだけのことが嬉しくて思わず笑って
「ハイ!ただいまです!!!」
と言ってしまった。
これじゃあまたヒロさんにガキだって言われるかな…
ヒロさんの顔をおそるおそる見たけどそこまで気にしてないようだった。
…どうしよう、今なら言えるかな。
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