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「あの…ヒロさん…」
「どうした?」
お酒が入っているからなのか、笑顔で振り向いてくれるヒロさんがそこにはいた。
どうりで顔が赤いわけだ、
そんなことが分かった所で俺にはこの人を悲しませる事は絶対出来ない、と
そう思ってしまった
***
頭が痛い…アルコールの摂取のしすぎか、自業自得だな。
しかし、昨日は野分がいなくなった寂しさとはいえ、流石に飲み過ぎと自覚していたもののやはり
途中からの記憶がないのだが、
夢の中の野分がとても悲しい顔をしていた気がした。
そんなことを考えながらボーッとしていると野分が寝室に入ってきた。
「おはようございます。朝食が出来ていますよ」
「あぁ、分かった」
野分は結局夜中遅くに帰ったみたいだが、俺より早く起きて朝食を作っているなんて…正直、何だか負けた気がしてくやしい。
だが、今日は大学も行かなきゃならないしここは野分の好意に甘えとこう。
「あれ、今日は何だかヤケに豪勢だな…なんかめでたいことでもあったか?」
「いえ…、たまにはこういうこった朝食を作るのも良いかなぁと思って、嫌でしたか?」
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