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(お祝いをするから)という語尾を付け忘れてしまったが、ウサギさんの機嫌が良くなったので俺も何だか機嫌がよくなって、気持ちよくウサギさんを送り出せた
「さぁ…頑張ろうか、」
世間一般的には今日は雛祭りだけど、俺の中では「ウサギさんの誕生日」の方が気持ち的に勝っているのでいつもより気合が入る。
まずは完璧にありとあらゆる部屋をかたずけて、ピカピカにする。そして、いつもより手間をかけて夕食を豪華にする(とは言ったものの、俺の「豪華」の限界がすぐに来てしまった)。あとは、ウサギさんが帰ってくるだけになった。
***
「ただいま。」
俺がお願いした通り少し早く帰ってきてくれた。
えと、ウサギさんが帰ってきた、よし。言う言葉を考えていたはずだ!
頑張れ俺!!俺ならできる!!!
「ウ…サギさんお帰りなさい。それと、誕生日おめでとうございますッ!」
「あ、そうか、今日は俺の誕生日だったな。どうりで丸川の人からたくさんプレゼントをもらったわけだ。」
ぇ、既に祝ってもらってたの…?
くそぅ、負けるな自分!!俺の方が愛は勝っている!!!
…我ながらあの時の思考回路はどうかしてたんだと思う。パニくるほど恥ずかしいプレゼントを何で用意したのかも、今の俺には理解不能だ。
「あ…のさ、腹減ったから飯食おーぜ。」
「ああ、そうだな。」
そんなわけでいつもより少し早い夕食を取った。
「すごいな、コレ全部美咲が作ったのか?」「あ…うん。ウサギさんの誕生日だから」などといった談笑をしながら、
心地良い満腹感をよそに、俺は、もう一つの、重大なミッションに取り掛かった。
そう、"プレゼント"だ。
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