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どすっ、と校庭の真ん中に座り込む。 ズボンが汚れる? 知ったこっちゃ無い。 「……ケンジ?」 前触れも無く、背後から声がした。 振り向かなくても誰か分かる。 「どうしたんだ?  真愛」 「ん?  最期に学校に挨拶しよっかなっ、て思って」 隣にストンっと座る音がする。 「来てよかった」 コイツも人と会うのが久しぶりなのだろうか。 「あのね、お父さんも、お母さんも、皆……いっ」 亡くなったのだろう。 俺の家族も地震で死んだ。 「いっ、いなくっ」 なっちゃった。 言われなくても続きが分かった。 「……ケンジ?」 落ち着いたのだろうか。しばらくたってから声がした。
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